バス・フィッシングの理論と実践 第一回(2001.7.5)


はじめに

釣りは、狩猟の一種である。したがって、いくら理論が確立されていようとも、自然や生き物を相手に行うスポーツであるから、必ず不確定要素が入ってくる。理論は、自然環境やバスの生態などからある程度のパターンを作り出し、攻めるべきスポットや選択すべきルアーを決定する目安という位置付けで考えるのがいいと思う。

であるから、私がポリシーとしているのは、理論とは相反する次のようなことである。

1.ポイントがわからなければ全部攻める

2.ルア−がわからなければ全部投げる

また、基本的な釣りのスタンスとしては、次のように考えている。

1.柔らかいもの(ワーム系)に手を伸ばす前に、如何に硬いもの(プラグ系)で釣ることができるか

2.ディープは捨てる

要するに、1キャストで広範囲を探ることによって、効率とスピード感を両立するのである。また、魚群探知機を使用しない(金がなくて買えない)釣りをする私にとって、時間的損失とリスクが大きすぎる5mより深い所で釣りをすることはできるだけ避けることにしている。

Part1 ルアー別基本戦略

1.ハード・ルアー

私が最も好きな釣りがハード・ルアーを使ったスピード感のある釣りだ。魚のいるスポット(点)を線でつなぐことによって、1キャストで複数の魚と出会うことチャンス作り出せる。釣りにリズムが出来るので、ソフトルアー系の釣りと比べて精神的な疲労度が軽いのが特長だ。

1)クランクベイト

最もポピュラーなルアーの1つで、だれもが一度は投げたことがあるルアー。ただ巻き、ストップ&ゴー、トゥイッチ、ポンプリトリーブなどが一般的なアクションだ。私がこのルアーを使う時に気を付けていることは次の通り。

・常にボトムとコンタクトしていること

・障害物にタイトに泳がせること

・いわゆる「ヒラ打ち」をさせること

つまり、中層に浮いている魚よりもボトム付近にいる魚を意識して釣っているのだ。ヒラ打ちは、ルアーが障害物に接触した時に起こる現象だが、真直ぐ泳いでいるルアーに反応しない魚をも釣ることのできる技で、ぜひマスターしたいテクニックだ。やり方は簡単で、ルアーが障害物に接触してもリトリーブをし続けるだ。今まで引いていた抵抗がスッと抜けて、ルアーが横倒しになりながら斜め上方へ浮いてくるのだ。この動きが弱った魚がもがいている姿にそっくりで、バスの攻撃欲を刺激する。ヒラ打ちさせるルアーはリップがデカイものをチョイスするのがポイントだ。これによって根ガカリはかなりの確立で回避できる。

私がよく使うクランクベイトは深場用にDD−22、ディープショット、DB3、シャロー用にバッシングシャッド、TDシャッド、シャッドラップなど。カラーは金系、銀系、チャートリュース系をメインに、ナチュラル系を加えればOKだ。また、分類としてはミノーに入るが、クランクベイト的な使い方をしているものにスプーンビルミノーがある。これは何年か前にラリー・ニクソンが日本に来た時に琵琶湖でやった釣り方で、ウィードの上やカケアガリのエッジ部分でサスペンド中に食わすといういわゆるポンプリトリーブで動かす。

2)バイブレーションプラグ

その名の通り、振動によるラトル音が最大の特徴のルアー。シンキングタイプとサスペンドタイプがあり、シンギクングタイプはただ巻き、サスペンドタイプはポーズを取りながらリトリーブする。使い方は、クランクベイトがボトムを意識していたのに対して中層を意識して釣る。ウィードの上や、アシぎわ、杭や橋桁などの縦のストラクチャーまわりと使用頻度はかなり高く、その日のバスの活性を手っとり早く探るパイロットルアーとしての役目を持っている。また、縦のストラクチャーまわりではヒラ打ちをさせてやるのが有効だ。さらに、ロングキャストができ、高速でリトリーブできることからマシンガン・キャストでバスとの出会いは相当多くなるはずだ。

私が主に使っているのは、TDバイブレーション、ウォーターソニック、ラトルラップだ。カラーは金系、銀系、チャートリュースにナチュラルを加えた定番。バイブレーションを効果的に使うために、私は岸と平行に引くことをよくやる。アシぎわや岩盤、護岸から50cm以内のところをリトリーブする。

3)ジャークベイト

一般的にミノープラグといわれているルアーをアメリカではこう呼んでいる。ジャーキングはロッドを下に向けて激しくあおるテクニックで、ルアーは水面直下を頭を左右に振りながらかなりのスピードで泳ぐ。この横の動きでバスを誘うため、縦のストラクチャーまわりよりオープンウォーターでの使用が有効だ。またルアーの動きを殺さないため(フローティングタイプは浮き上がってしまう)、私は全くポーズを取らずにジャーキングをする。ウィードの上や、ごく小さなワンドの中などが特に有効なエリアだ。

私が使うのはロングA一本だ。サイズとカラーバリエーション(いつもの金、銀、チャートリュース、ナチュラルの定番)の変化で勝負している。

もう一つ特殊なジャークベイトをご紹介しよう。いわゆるソフトジャークベイトといわれるものだ。これは、本来はワームに分類されるものだが、動かし方はジャーキングというハードルアー的な使い方をする。ソフトルアー特有のナチュラルな動きとウィードレス効果の高さから、私の中では現在、最強のルアーの一つになっている。私が使っているのはバスアサッシン6インチ、ズーム6インチだ。どちらも胴体の中心に切れ目があり、フックをセットしやすくなっている。カラーは金×黒,チャートリュース。

このルアーを使うのはバイブレーションプラグで攻めきれないような厳しいところ、つまり岸ぎわにパラアシや杭、立ち木など縦のストラクチャーがからむようなところだ。ウィードレス効果が高いため、根ガカリを気にすることなくガンガン引くことができる。

4)トップウォーター・プラグ

昔の人たちは、1日中これを引き倒したといわれるほど根強い人気を誇るルアーだ。音や動き、あるいはその両方で、バスの食性よりはむしろ攻撃性を刺激する。障害物のきわをタイトに攻めることが重要で、障害物にぶつかる瞬間や、すり抜けた瞬間、かすめ過ぎる瞬間にバイトしてくる。

アクションはストップ&ゴー、トゥイッチングなどで、ドッグウォーク・アクションを演出する。これにはかなりの練習が必要で、実は私もうまく動かせなかったりする。私は、ザラスクープを主に使用している。カラーは銀とチャートリュース。

バズベイトは、厳密にはプラグではないが、トップを釣るということで、ここで紹介する。ウィードレス効果が高いため、パラアシの中などの他のトップウォータープラグでは狙えないようなところでも狙うことができる。そのため、軽目の比較的小さなものをチョイスするのがベター。ブルドッグやヒルデブランド(アメリカ製)などがお気に入りだ。カラーは白かチャートリュース、白×チャートリュースで決まりだ。また、春や秋などの活性が高い時などはスカートを外して代わりにグラブやチューブベイトなどを付けても有効だ。

さらにもう一つ特殊なものをご紹介しよう。「フロッグ」だ。これは中空の柔らかいボディにダブルフックを付けたもので、テールにラバースカートがついている。本来は、ライギョ用に作られたもので、ハスや浮き草などの上を引いてくることに効果を発揮する。水面まで伸びたウィードの上をツルツルっと引いたり、フリッピングロッドに付けてヘビーカバーの中に落とし込んだりとバズベイトでも攻めきれないような場所に使う。カラーは白、黒、チャートリュース。

基本的な動かし方は、ノーアクションのただ巻き。しかもややゆっくりと引いてくるのかポイントだ。また、ウェッピングで使う場合は、アシの葉や茎にラインを引っ掛けておいてポチャポチャと水面の上をジャンプさせる。

5)スピナーベイト

現在、パイロットルアーの定番ともいわれるほど使う人が多いルアーの一つといえるだろう。また、大物キラーとしても有名だ。シャローからディープまであらゆる層をカバーでき、ウィードレス効果が高く、アピール度も満点と最強のルアーの一つだ。

スピナーベイトはブレードの形で泳がせる層やアピール度が違ってくる。

最近はあまりお目にかからなくなったが、コロラドブレードは浮き上がりがよいため、表層を引くときに使う。丸っこい形のため、アピール度は低くなるが、巨大なコロラドブレードをシングルで付けて、深めのところをゆっくり引いたりすると効果的だ。

インディアナブレードは、コロラドタイプと後から出てくるウィローリーフタイプの中間に当たる。コロラドタイプより水の抵抗が少ないため、ルアーの浮き上がりを抑えることができる。コロラドタイプより若干細長くなっている分だけアピール度は高くなっている。個人的な好みだが、私はまったく使っていない。

ウィローリーフブレードは、水の抵抗を受けにくいため、ボトムを引くのに適している。また、細長く、回転の際の動きが大きいことからアピール度は三種類の中では一番高くなっている。

私がよく使うのはヒルデブランド、ブルドッグ、ランバドールで、ブレードはウィローリーフタイプとコロラドタイプのタンデムかダブルウィローリーフだ。カラーは、白×チャートリュースオンリーだ。

使い方はほぼバイブレーションプラグと同じく、場所を選ばずどこにでも投げる。ウィードレス効果が高いため、より厳しい状況のスポットにも安心して投げることができる。1種類のスピナーベイトでも、ロッドの立て方とリトリーブ・スピードの調整でいろいろな深さや泳がせ方ができるので、工夫次第で1日中これだけで釣りをすることも可能だ。

スピナーベイト的使い方ができるルアーで一つ特殊なものをご紹介しよう。「ウィードレススプーン」だ。釣り道具屋では「シルバーミノー」の名前で販売されている。本体にシングルフックが固定されていて、フックを上に向けて泳ぐ。もともとはマス釣り用に購入したのだが、その動きのリアルさにバス釣りへの応用を思いついた。

私はこれに白、黄色、チャートリュースのラバースカートを装着して使っている。泳ぎ方は、ヒラヒラと左右に身をくねらせながらも、どちらかといえば直線的だ。表層近くをかなり速いスピードで引いてくるのが効果的で、縦のストラクチャー、特にアシぎわやウィードエリアで有効だ。また、大物キラーとしても優秀で、過去45cmアップを数多く仕留めている。

2.ソフトルアー

ハードルアーと比べてスピード感こそ劣るが、ハードルアーでは攻めきれないようなところをピンスポットで攻めることができる、重要な役割を持っている。また、動きがナチュラルでしかも柔らかいため、バスがくわえてから離すまでの時間が、ハードルアーとは比較にならないほど長いというメリットがある。さらに非常にリアルな形をしていることも大きな魅力となっている。

1)リグについて

現在様々なリグが開発されているが、私が使っているのはごくオーソドックスなものだ。

・テキサス・リグ:中通しのシンカーを使った、最も基本的なリグだ。ワームとシンカーが接しているので、ボトムの釣りに適している。また、シンカーがかなり自由に動くため、フォーリングの最中にワームとシンカーが離れて、水中を漂わせることができる。使い方はボトムのズル引き、縦のストラクチャーに対するフォーリング、シンカーを固定してのヘビーカバーへのピンスポット攻撃、シェイキング、スイミングと非常に多彩だ。

・ジグヘッド・リグ:ラバージグも含めて、特にフォーリングとスイミングに威力を発揮する。ラバージグはアピール度も高く、ボトムまで達した時やシェイクした時のラバーの開きがバスを引き付ける大きな武器となっている。また、ウィードレス効果が高いため、ヘビーカバー攻略にも効果的だ。フォーリングとスイミングをミックスしたものにカーブフォールがある。ラインにテンションを持たせながらフォールさせるテクニックで、使うルアーによって様々な演出が可能だ。

・スプリットショット・リグ:シンカーをワームから離して固定するため、ワームを漂わせることができる。軽いシンカーを使うことによって中層を、重いシンカーを使うことによってボトム付近を狙う。ワームとシンカーの距離を広く取ることによってスローに、狭く取ることによって速く引く。

・ノーシンカー・リグ:シンカーを使用しないワーミングの総称で、主に表層付近で使うことを目的としている。また、フローティングタイプでないワームを使って、非常にゆっくりとフォーリングさせるときに有効だ。

2)テールの形から動かし方を推理する

ワームはストレート系、グラブ系、チューブ系、動物系の4種類に大別できる。

ストレート系は棒状で、細長いシルエットをしたもの。グラブ系はボディが太く、ずんぐりしたシルエットをしたもの。チューブ系は、いわゆる「タコベイト」と呼ばれるように、中空のボディにスカート状のテールを持つもの。動物系は、ザリガニ、エビ、サンショウウオ、カエルなど動物のシルエットをしたもの。動物系以外のものは、テールの形状によってアクションを考える。

・ストレートテール:ワーム全体がクネクネと動くことから、シェイキングなど移動距離の少ないアクションに向いている。ガラス・ビーズを使ったテキサス・リグで、縦のストラクチャーやウィードのポケットなどに落とし込んで、ボトムでシェイクするのが効果的だ。また、ノーアクションで漂わせたときの斜めに沈んでいく姿が、弱ったベイトフィッシュに似ているので、ポーズを多用したスプリットショットリグでも効果を発揮する。

・カーリーテール:わずかなアクションにもテールが大きく反応を見せる、アピール度が非常に高いテールだ。移動距離を長く取ったり、リフト&ドロップなどワームを動かし続けることによって、テールが常に動いている状態を作り出してやることがポイントだ。

・パドルテール:その名のとおり楕円形の平たいテールは、全体のシルエットを大きく見せることが可能だ。大きなシルエットを利用して、着底後ステイさせることによってバイトを誘うことが有効だ。また、ストレート系ワームの場合はテールが良く動くことから、シェイキングで効果を発揮する。

・チューブ:このワームの特徴は螺旋を描きながらフォールすることだ。他のワームでは演出できない動きだから、橋げた、杭、立木回りなど縦のストラクチャー攻略に抜群の効果を発揮する。フォーリング時の動きを殺さないため、ジグヘッドリグとして使用するのがポイント。また、サスペンドしやすいルアーなので、スプリットショット・リグでポーズを多用しながら使用するのも有効だ。

3)バスの食性からワームを推理する

ご存知のとおり、バスは肉食性の魚だが、住んでいる湖によって主食としているものが微妙に違ってくる。

低地にある沼や湖などの、いわゆるナチュラルレイクでは魚よりむしろザリガニ、エビ、カエルなどを主食にしていることが多いようだ。これは岸沿いに水生植物が豊富であることが理由だと考えられる。

高地にある湖や人工湖(いわゆるリザーバー)では、ワカサギやフナ、アユ、オイカワなどを主食としていることが多いようだ。これは岸が岩盤であったり、溶岩であったり、岸から急激に落ち込むところが多かったりと、岸沿いに水生植物が育成できる条件が乏しいことが理由だろう。

次にバスの付き場によって主食としているものを推理してみると、シャローのストラクチャー回りのバスは、ザリガニ、エビ、カエルなどを食べ、ディープにいるバスは、フナやワカサギなどをエサとしている。これは、エサとなる生物の生活環境を考えていけばある程度は推理できることだ。

これらを踏まえて、自分が釣ろうとしているスポットで、どのワームをセレクトしていくかの大まかな目安を作ることができれば、釣りの展開にも柔軟性と幅を持たせることができるようになる。ただ、「この場所にはこれ!」と決め付けるのではなく、第1投目に何を投げるか? といったキッカケぐらいに思っていないと、逆に思考は固まってしまい、柔軟な対応ができなくなってしまう。

4)私のお気に入り

私が使っているワームは、取りたてて特別なものではない。

・グラブ系:ゲーリーヤマモト4インチ、エコギア4.5インチ、5.5インチ、ノリーズエスケープパドル。主にフロリダシンカーでのフリッピングやピッチングに使用している。ゲーリーは、テールの肉が薄く、切れやすいので杭、立木などでのフォーリングに使う。エコギア4.5インチはジグヘッドリグでのスイミング、スプリットショットでの使用。5.5インチはアシぎわやヘビーカバーの中への落とし込みに使っている。エスケープは、最もヘビーな場所へのアプローチにフロリダシンカーを使って使用する。カラーはスモークに色付きラメが入ったもの、ブラックラメ無し、ウォーターメロンが主力。

・ストレート系:トーナメントワーム6インチ、エコギアストレートテール5インチ、カルプリットロングカーリーテール8インチ、サタンワームのリングワーム。トーナメントワームは重目のシンカーでのテキサスリグでブッシュやカバーの中、縦のストラクチャー回りで使用。エコギアは軽いシンカーにビーズを組み合わせてやや深いところにあるストラクチャーで使う。カルプリットは、今最もお気に入りで、フロリダシンカーでのブッシュ回りから、ウィードでのスイミング、立木回りでのリフト&ドロップとあらゆるところで使っている。リングワームはスプリットショットかジグヘッドでスイミングを主体とした使い方をしている。カラーはパープル系、スモーク系、ウォーターメロン、黒×赤、黒×青が主力。

・動物系:ギドバグ一本だ。フロリダシンカーでのフリッピング、ウェッピング、ピッチングでヘビーカバーの中やアシぎわ、アシの中へガンガン放り込んでいく。カラーは茶系、黒にツメだけチャートリュース、ツメだけ青が主力。

・チューブ:サタンワーム4インチ、ゲーリーヤマモト4インチ。軽いジグヘッドでの縦のストラクチャーに対するフォーリングに使っている。なるべくストラクチャーにタイトに落とし込むためスピニングロッドを使う。カラーはスモーク系、ウォーターメロンが主体。

・ラバージグ:現在は自分で巻いたもの(ヘッドに着色すらしていない)を主体に使っている。ラバーの色は黒。わずかにパープルや青を混ぜることもある。重さは、10g以上がほとんどで、冬用に5gなども作る。使い方は、ギドバグかケイテックのプラスチック・ポークをトレーラーにして、ヘビーカバーやブッシュ、縦のストラクチャーを狙う。


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