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クルマって面白い-運転技術について考える-


第1回 私のクルマ遍歴 2001.1.12


クルマが好きだ。

私が最初にクルマそのものを明確に意識したのは、小学生当時少年ジャンプに連載されていた「サーキットの狼」を読んだときだろう。それ以来、名車ロータス・ヨーロッパは永遠のアイドルとして君臨している。続いて巻き起こったスーパーカー・ブームの真っ只中で、クルマ好きの核となる部分が形成された。

学生時代に、規定時間ピッタリで免許を取得した。様々な方向へ興味の対象は行き来したが、本質的にクルマ好きは変わらなかった。自動車部の主将をしていた友人の影響もあって、運転の方向性ははじめからモーター・スポーツを向いていた。

しかし、同時進行で楽器などの様々な趣味を抱えていたため、自分のクルマを所有できたのは、社会人になってからである。その間は親のクルマでこっそりと、友人のクルマで遠慮がちにテクニックの習得に励んだ。サーキットの狼で使われる、様々な専門用語やクルマの動きを実際に体験し、身につけていくことが楽しくて仕方がなかった。

社会人になると、モーター・スポーツ志向は益々高まり、目指す方向も「ラリー」に固まっていく。クルマを扱ったテレビ番組で、最もインパクトが高く、クルマを「自由自在に操る」という印象が強かったからだ。そして本格的にラリー・ドライブにのめり込んでいくことになる。おりしもバブル絶頂期を迎えようとする世の中で、実入りも良かったこともあり、様々なクルマと出会うことができた。

バブルの崩壊と共に、クルマその物の、維持費を含めたランニング・コストに押しつぶされるようにラリーから身を引き、現在はその残滓を時折見せつつ、遅いクルマの良さにも僅かに理解を示しつつ、現在に至る。

このテキストでは、モーター・スポーツの技術を踏まえた上での、一般的な運転技術について、ちょっと語ってみようと思う。もちろん、自らの普段の運転を点検&自省し、今後も安全で適切な運転ができるように、という備忘録兼戒めとしての位置付けが強い。

先ずは、簡単に今まで乗り継いできたクルマ達を紹介しようと思う。

1.AE86 レヴィン

トヨタのいわゆるレヴィン・トレノの三代目に当る。また、シリーズ最後のFR(フロントエンジン・リアドライブ)車である。エンジンは開発をヤマハが手がけたといわれる、高回転型4-AG。これをコンピュータ・チューンで混合気を5%ほど濃くし、マフラー交換、足回り交換で戦闘力をアップした。

コンパクトなボディ、リニアなハンドリング、レスポンスの良いエンジン、FRとクルマの運転の初歩を覚えるのにこれほど適したクルマはない、というくらいの名車で、今でも根強いファンがいる。

私もこのクルマで、ヒール・アンド・トゥやスピン・ターン、パワー・ドリフトなどの様々な基本テクニックを身に付けた。最後はガードレールに突っ込み、クワガタとなって廃車となった。非常に思い出深いクルマ。

2.AW11 MR2

トヨタが国産初量産となるミッドシップ・カーを発表したときは、本当に驚いた。また、憧れた。友人が買ったのを期に、度々運転させてもらった。エンジンはAE86と同じ4-AG。

AE86よりもさらにコンパクトなボディ、ガチガチに固めた峠仕様の足回り、軽いフロントを生かした非常にスムーズでリニアな回頭性、限界を超えると突然狂ったように振出されるリアと、ミッドシップ・カーの特性を勉強させてもらった。やはり、思いで深いクルマ。

3.E-38A ギャランVR-4(205馬力)

ラリーのミツビシがWRC(世界ラリー選手権)のベース車両として発表した、フルタイム4WD。エンジンは、現行ランサーにも引き継がれる4G63型。205、220、240馬力型と三代のギャランの初代。一般ユーザ向けとは別に、RSバージョンというラリー競技専用のベース車両がある。私が購入したのはこのRS。

4ドア・セダンの大きく重いボディ、ターボで武装した2000ccエンジン、4WDと、現在のラリー車と比較すれば見劣りするが、当時としては画期的な仕様であった。おまけにRSにはエアコンもラジオもオーディオもないという、純競技用ベースだ。これにエアコンとステレオ、フル・バケットシート、ダート用足回りを組んで、街乗りにも対応させた。

何といっても、カルチャー・ショックはターボ・パワーだ。AE86がわずか1600ccノンターボで130馬力前後なのに対して、205馬力ターボは強烈だった。加速時に、背中がシートに張りつけられる感覚というのを初めて体験する。

4.E-38A ギャランVR-4(220馬力)

205馬力バージョンと同時に所有していたのが、この完全ラリー仕様のVR-4だ。10点式ロール・ゲージ、KYBのラリー・ショック、フル・バケットシート、ラリー・コンピュータ、アンダー・ガード、追加のドライビング・ランプ、後部座敷なし、エアコンなし、車内及びトランクの内張り(カーペットなど)なし、というちょっと普通では見られないクルマ。

週末の夜ともなれば、山へ練習に、競技本番にと大活躍した。この220馬力バージョンからは、RSには標準でクロス・ミッションが装着された。競技や走りを考えればギアの繋がりがスムーズになり、常に高いエンジン回転数をキープできるというメリットがあったのだが、コスト面を考えると、練習に行けば一晩に3回も給油しなければならず、ランニング・コストは膨大な物になった。街乗りでリッターあたり6km強、山では2kmというガソリンがぶ飲みなヤツであった。

5.CD-5A ランサー4DW

バブル崩壊と共に、205馬力のVR-4を友人に売り、220馬力を弟に譲り、新たに入手した戦闘マシーン。220馬力バージョンとほぼ同じ仕様(ロール・ゲージは6点)の、完全ラリー車両。前回に懲りて、エアコンだけは装着する。現行ランサーの前身であるため、エンジンは1800ccターボで200馬力を下回る。

このクルマも練習に競技に大活躍したが、パワー的には劣るため、競技本番では劣勢を強いられた。しかし小型エンジンのための軽さと、コンパクトなボディ、運動性能の良さは棄てがたいものがあった。そのため、足回りの大改造を行い、自らのテクニックにもさらに磨きをかけることによて、登りでは相手にならなかったが、平地で肉迫、下りで同等のタイムを叩き出せるようになった。

愛着とクルマとの一体感は最も強い1台。

6.AE92 カローラFX

バブル崩壊から立ち直れず、さらに縮小。AE86のエンジン4-AGを引き継ぐFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車。やはり前回とほぼ同じ仕様(後部座席あり、内張りあり、エアコンありだが)の競技用車両だ。また、私にとって初のFFということで、多少の緊張を持って初対面したことを覚えている。

久しぶりにNA(自然吸気)エンジンの伸びとスムーズさを味わう。しかし、経済面でも仕事面でも、別の趣味の面でも余裕がなくなり、このクルマでは一度も競技に出場しなかった。長い間ターボ車に慣れ親しんできたため、パワー不足は予想を越えるものだった。その分、コンパクトで軽いボディ、抜群の運動性能をフルで生かし切り、おもちゃのようにクルクル回ることができる。

楽しい1台。

7.サファリ

ニッサンのRVという言葉が生み出される前の古い、オフロード車。初めてディーゼル・エンジンというものを体験する。その鈍さにはまいった。弟と共同所有。でかいシャシーにでかいタイヤ、トラックのような視線の高さは、やはりカルチャー・ショックだった。

クルマと同時進行で楽しんでいたバスフィッシングが、ラリーから身を引いたことで本格化。たくさんの道具類を運搬するために、大きな車両が必要になり、弟の主導で購入。鈍重な動きと、ディーゼル特有のうるさいエンジン音と振動が気に入らなかった。

「戦闘機乗りは、爆撃機には乗れないんだよ」という歴戦のパイロットのセリフが思い出された。

8.ランドクルーザー・プラド

現在のクルマ。かつては「遅いクルマは好かん。死んでも乗らん」と言っていた自分が信じられない。奥さんの意見や今後のこと(自転車趣味)を考えて購入。しかも、人生で初のオートマティック車。堕落したものである。

ほとんどの機器が電動、心地よいエアコン、柔らかくて楽なシート、高性能なオーディオを体験すると、その文明の利器に体が慣れてしまう。結構、止められない快適さなのだ。「これもまた、ありだなぁ」などと軟弱なことを考えている、今日この頃。


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