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ミュージシャンのファッション


初期の頃、戦前のジャズ・ミュージシャンのファッションといえば「タキシード」と決まっていた。ビッグ・バンドによる、いわゆる「スゥィング」はダンスホールなどで演奏されることが殆どだったから、ダンスをしに来るお客に合わせたカッコとしては、仕方のないことであったのであろう。現在でも、ビッグ・バンドのメンバーはタキシードを着用しているケースが多いようだ。

その後も、タキシードほど堅苦しくはないが、スーツ着用というのは基本形であったようだ。古い、50年代や60年代の映像を観ると、殆どのミュージシャンがスーツ姿だ。このような堅苦しいカッコは、演奏する上で如何なものか? ラッパ系の楽器は、楽器に自らの息を吹き込む際、首が驚くほど膨らむ。これではネクタイなどで首を絞めていては苦しくて仕方がないだろう。バンドの中で最も運動量の多いドラムスも、窮屈なカッコでは可哀想だ。

ミュージシャンたちのファッションがヴァラエティに富んだ(言い換えれば崩れた)ものになり始めたのは、やはり様々な音楽との融合を遂げた「フュージョン」時代に入ってからであろう。それまでスクゥエア一辺倒であったジャズも、様々な音楽や文化とフュージョンすることにより、ファッションもフュージョン時代に突入したのだ。

現在では、そこらへ買い物に行くような? 気軽なカッコで演奏するミュージシャンが増えてきた。特に夏場はこの傾向が顕著であり、汗をかいても良いようなカッコが主流だ。いわゆる半そで短パンというヤツだ。マイク・スターン(g)のように、通年ボーダーの長袖ティシャツにブラック・ジーンズ(冬は、会場入りするときにこの上にジャンパーという姿だ)という人もいるが……。

黒人ミュージシャンのあいだでは、アフリカの民族衣装を着用し、心の故郷を主張する者、カリブ海系のファッションを好んで着用する者など、原色が似合う黒人らしいファッションがやはりカッコ良い。マイルスのようにサイケなファッションに身を固めて、ジャンルレスな雰囲気を醸し出している者もいるが……。

総体的に見て、黒人ミュージシャンのファッションの方がお洒落で自己主張が強いようだ。白人ミュージシャンのそれは、どうも野暮ったい感じや爺臭い感じになってしまうのは、私が黒人贔屓だからであろうか? 日本人ミュージシャンの場合も、白人ミュージシャンと似たり寄ったりか、カッコ良くキメたつもりが大失敗(当然本人は気づいていない)という感じの人が多い。

身に付けるものの趣味は、人それぞれだが、人前で演奏するのであるから、それなりのカッコは最低限したいものだ。


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