ロコの如く楽しむ
ロコとは、ローカルの意味だ。つまりジモピーらしく暮らすということを南の島に行ったら実行したい、ということだ。これには、いくつかの前提条件がある。
第一に現地の言葉がある程度話せること。我々にとって最も親しみやすいのは、英語だろう。そうすればハワイかグアムあたりということになる。タヒチやバリ、コスタリカなどでは現地の言葉が違うから、結構苦労する。英語をマスターするのに、英会話学校に通う必要は無いと思う。先ずは、相手が何を言っているのかが分かるようになれば、あとはブロークンでも何とか意思の疎通はできるからだ。
先ずは字幕映画を観まくることだ。それも、現代物に限る。時代が少し前のもの(ベトナム戦争物やそれ以前の物など)は、言い回しなどが古かったりするからだ。現代では通用しない表現などもあるから、注意が必要だ。少なくとも時代設定が80年代以降の物が良いだろう。
私はこの方法で会話はマスターしたといっても良い。学校などに通ったことはないのだ。映画の会話が60%程度理解できれば、現地ではかなりの確立で言葉をキャッチできると思う。映画で慣れることのポイントは、スピードだ。観光客が行くようなところにいる人々(主に店員)は、ゆっくりハッキリしゃべってくれることが多いが、その他のところではそういった配慮は無い物として考えなければならない。大抵の場合は、非常に早口だ。したがって、ネイティヴ・スピーカーのスピードに慣れることが一番だ。
第二は、行く前にある程度(かなりのレヴェルで)日焼けしていること。これは非常に重要だ。日焼けしていることにより、外見的な違和感を払拭できる。また、現地で一気に日焼けすると、数日は苦しむことになる。これでは楽しいはずの旅行も、苦痛の連続になってしまう。
私の場合は、毎年5月の連休に第一回の皮が剥ける。こうして徐々に日焼けを重ねておけば、現地での日焼け対策もあまり必要としないばかりか、はじめからジモピー気分で行動できる。余談になるが、日本の日差しとハワイの日差しの差というものの違いに気づいたので記しておこう。
一定時間、外にいた場合、当然ながらハワイにいた方が日焼けが酷いと考えるだろう。しかし、実際は日本の日差しの方が強いらしい。「日差し」というのはやや語弊があるかもしれない。紫外線の強さと言い換えた方が正確だろう。私は、千葉の海にいるほうが遥かに強烈な日焼けをすることを発見した。いくつか原因は考えられるが、やはり日本の方が環境破壊が進んでいて、オゾン層がダメになっているのではないだろうか?
第三は車を運転するということだ。旅行者である我々は、当然のことながらレンタカーを利用することになる。ほとんどのレンタカー会社では、25歳以上という条件が付いている。若者はバスを利用しろということらしい。ハワイの場合は、ご存知の方も多いと思うが、国際免許は必要ない。インターネット経由で予約すれば、割引などのサーヴィスを受けられたりするし、航空会社とタイアップしていれば、マイレージが加算されたりするから、事前に調査が必要だ。
南の島というのは、大抵の場合交通の便が悪い。車を運転できなければ行動範囲は恐ろしく狭いものになってしまうのだ。こうした場所では、鉄道による移動は殆ど皆無と言って良い。バスはあるが、時間的なロスが非常に大きい。ワイキキからノースショアの中心ハレイワまで行くのに、バスだと4時間以上かかるのだ。車で行けば小一時間でいけることを考えれば、車の移動は必須であることが分かる。
ダウンタウンやチャイナタウンなどのゴミゴミした場所をのぞけば、駐車スペースは十分にあるから、日本のように駐車場を探して彷徨うことはない。このような状況は、沖縄でも見られる。那覇市内の繁華街をのぞけば、駐車スペースは十分だ。移動手段がバスしかないところも全く同じだ。
第四は服装だ。「観光客丸出し」は、やはりカッコが悪い。そればかりか犯罪(いわゆるホールドアップ強盗というヤツだ)に巻き込まれる可能性が高い、ということも考慮に入れなければならない。日本で出かけるときのカッコというのは、現地ではかなり浮いていることを自覚しなければならない。また、シャネルやプラダなどのブランド物の袋を持って歩くのも「私はカモです!」と宣言しているようなものだ。
ロコたちのカッコは、大抵が短パンにティシャツだ。それも着古したヨレヨレのティシャツというところがポイントだろう。これに履き古したスニーカーかビーチサンダル(サーファーくらいしか履かないが)が定番のカッコだろう。男性は膝丈か膝下くらいの長さが流行りらしい。これに対して女性は、超がつくほど短いのが主流だ。ジーンズのカットオフなどが男女ともにクールだ。私の場合は、お気に入りのグラミッチの短パンを主に履いている。これは新品でも古着のようなヨレヨレで、たいそう馴染みやすいのが良い。
ドレスコードのあるレストランなどに行く場合の服装もあると、恥ずかしい思いをしなくて済む。これもヨーロッパやアメリカ本土のような超高級なところは大してないから、襟のあるシャツとチノパンくらいでOKだ。日本にも支店の出ているRoy'sやサム・チョイもこの程度の服装で大丈夫だ。元々が暑いところだから、襟元を締め付けるような服装はロコの間ではあまり好かれない。ハワイではアロハ・シャツが正装として通用するから、お気に入りのアロハ(新品よりは、こなれた感じが好ましい)を持っていくのも一つの選択肢だろう。
ここまでくれば、見かけだけはかなりロコに近づいてきた。あとはせかせか歩かないとか、悪者風のサングラスをかけるなど、細々したところを現地で調整すればOKだ。では、もっとディープにロコに近づくにはどうすればいいのか? 次はステイ先と食生活だ。
ステイ先を選ぶのなら、キッチン付きのコンドミニアムが良いと思う。何と言っても、現地で食材を調達して料理することが楽しいからだ。様々なレヴェルのコンドミニアムがあるが、お勧めは小規模でマイナーなコンドミニアムだろう。従業員はフレンドリーだし、日本人と遭遇する確率は低いし、大きな荷物(サーフボードなど)の部屋への持ち込みもOKだ。また、お値段の方もかなりお徳である。
余談になるが、ワイキキ界隈のメイジャーなホテルでは、サーフボードをホテル内に持ち込むことが禁じられているところが多い。ホテルの1階部分に「ボード・ロッカー」というボード置き場があるが、傷などのトラブルが起きても文句は言えないというデメリットがある。何より大切なボードが自分の目の届かないところにあるというのは不安だ。我々夫婦がいつもステイするコンドミニアムは、サーフボードを部屋に持ち込むことが許されている。
全く逆のパターンでは、超高級コンドミニアムを数組のカップルあるいは仲間、家族などでシェアするという方法だ。2ベッドルームとか3ベッドルームで一泊1000ドル以上だとしても、一人頭の一泊料金で考えればかなりお徳だ。親戚一同などの大人数で行くのなら、貸し別荘を貸切にするのが良い。使い勝手や自由度の広さなどを考えると、ベストなステイ先だろう。
「オーシャン・ヴュー」ということによく拘る人がいるが、考えてみると昼間の間部屋にいることは殆ど無い。夜寝に帰るだけ、ということであれば海に面した部屋のメリットはあまり無いと言わざるを得ない。ほとんどの南の島の場合、海は太平洋や南シナ海などの外洋に面しているから、夜海を見ても殆ど何も見えない状態なのだ。それなら、ハワイの場合ならダイヤモンドヘッドなどに面した部屋の方が夜景はずっときれいだ。オーシャン・ヴューに拘って得をするのは、波のチェックが部屋から出来る、サーファーくらいのものだろう。
棲家が決まれば、次は食べ物だ。外出している昼間は別として、朝夕のご飯は「自炊」が基本だ。特に朝は部屋で、あるいはプールサイドで、バルコニーでゆったりと食べたい。夕食も、今日はちょっと気取って……などという日以外は部屋でゆっくりと食べる方が良いだろう。また、自炊した方が経済的にも遥かにお得なのは言うまでも無い。
ハワイ(ハワイは全米では物価が高いことで有名だが)だけでなく、日本以外は物価が驚くほど安いから、地元のスーパーマーケットなどで買い物をすると、かなりのカルチャー・ショックを受けると思う。ハワイで日本の半分ぐらいの物価だと見当をつければほぼ当たっているだろう。ここまで安ければ、買い物しないわけにはいかない。また、日本では見られないような面白い食材や調味料、飲み物などがあるから、実際に自分で試した上でお土産として持ち帰ることもできる。
私がお気に入りなのは、子供から大人までオヤツとして食べている「HoHo's」というお菓子だ。直径3cm、長さ10cmほどの大きさで、チョコレートケーキと生クリームのロールをチョコレートでコーティングしただけの単純なものだ。これが3本でワン・パックになっている。極端に甘いが、チョコレート好きにはたまらないだろう。これで1ドル以下のお値段だ。
食材だけでなく、こういったジャンク・フード系も充実しているところがスーパーマーケットの醍醐味だろう。ハワイならアラモアナSC近くのダイエーやそこら中にある「フード・ランド」が手軽で良い。広いということもあるが、物珍しさも手伝って2時間くらいは楽勝で時間がつぶせることは請け合いだ。
昼食はどうするか? これはもう「プレート・ランチ」で決まりだろう。メイジャーなビーチや街中のカフェ、博物館や美術館のカフェ、幹線道路沿いのドライヴインなど、様々な場所でこのランチは食べることができる。また、その場所ごとに味が微妙に変わるから、お気に入りを見つける楽しさも加わって非常にエキサイティングだ。
ご飯もの、サンドウィッチ、肉、魚、野菜、和風、洋風、中華風……望むものはほぼ何でも食べることができる。ヴォリュームは日本の5割増、値段は飲み物を含めてほぼ5ドル。非常にコストパフォーマンスに優れた昼食だ。午後から仕事が控えているわけではないから、お腹一杯食べたところで問題ない。心行くまで堪能できる。
これでほぼ、衣食住でロコの如く楽しむことは可能となった。あとはロコの如く遊ぶわけだが、これについてはまた別のコンテンツで書こうと思う。今回はこの辺で。
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