その他 素材編


1.香菜(シャンツァイ)

別名コリアンダーとも呼ばれる。アジアを中心とした広い地域で食材として使われている、非常に強烈な香りを持つ植物だ。

強烈な香りとは、カメムシの発する臭い液の匂いとそっくりなのだ。口に入れたときの匂いの広がりは、カメムシを噛んだらきっとこうだろうというくらい強烈なシロモノだ。まさに「苦虫を噛み潰す」感覚だろうか?

ところが、この「カメムシ草」も慣れてくると病み付きになる。インド料理では、ガラムマサラと並んで欠かせない香辛料であるし、中華料理では、焼き蕎麦やビーフンなどでも使われる。サラダなどに生のまま使われることも珍しくない。私もはじめて食べたときは、こみあげる嘔吐感に耐えるだけで精一杯だったが、今では美味しく頂いている。

人間は時としてとんでもない食材を考えるものだ。くさやの干物やブルーチーズ、北欧の腐った魚の缶詰……。人間は本質的に臭い物が好きなのだろうと思う。日本では水商売系のお姉さん方の御用達として名高いクリスチャン・ディオールの「ポワゾン」にはウンコの香りも含まれているという。

日本の植物の中にも強烈な香りを持つ植物は少なくない。オオバ(紫蘇)や茗荷は代表選手だ。私はこの二つが非常に苦手だ。似たような植物にイタリアンで頻繁に登場するバジルがあるが、こちらは得意中の得意である。どちらも同じようなものだという指摘を受けるのだが、私の中ではまったく別物として分類されている。

また、納豆も嫌いな物の中ではナンバー・ワンだ。これが食卓の上にあるときは、食事をしないというくらいに嫌いだ。

臭い物は好きだが嫌い。人間とは複雑である。


2.辛い調味料

ただでさえピリ辛なキムチ鍋であるが、我が家ではさらに辛くする調味料を、いろいろ使う。

たとえば「コーレーグースー」。泡盛に島唐辛子を漬け込んだ、辛くてアルコール分タップリのエキス。本場では、様々な銘柄の泡盛に漬け込まれ、お気に入りをチョイスできる。一升瓶バージョンなどという、驚き商品も当たり前のように売られている。

たとえば「練り唐辛子」。山梨県の河口湖近辺で作られている、油分をタップリ含んだ超激辛の真っ赤な調味料。その辛さは強烈で、うどんなどに一匙溶かし込むと、あっという間に頭から湯気が出る。持続効果も高く、食後もしばらくはポカポカ感がのこる。

前者は、キレがあってさわやかな辛さだ。まさに「熱しやすく冷めやすい」という感じで、いかにも南国の香辛料っぽい。後者は、暗い田舎の調味料という感じで、ネットリとそして強烈に辛い。そして、何とも言えない心地よい風味を持っていて、おそらくどんな料理ともマッチするだろう。

生の島唐辛子を買ってきてあるので、自作のコーレーグースーを作ろうと計画している。辛さへの飽くなき挑戦だ。


3.美味さの本質

その答えは……「料理の80%は材料で決まる」である。要は食材が良ければ、テクニックのような物はあまり必要ないのである。良い食材は高い。例えば、スーパーマーケットのようなところと高級食料品店(紀伊国屋や明治屋)では、同じキャベツ(例)でも値段がまったく違うのだ。違うのは値段だけではない。高級食料品店の食材は、厳選されたまさに高級な物なのだ。

たとえば、ステーキ用の肉。肉の良し悪しは「エイジング」だ。ヴェリー・レアで焼いても、ナイフを入れた際に血が滲まない肉が完璧なエイジングをされた物だ。スーパーの肉はエイジングがなってない。これは仕方のないことなのだが、十分な時間と寝かせておくためのスペースを考えると、どうしても手間を省かざるを得ない。

たとえば野菜。特約農家があるのだろう。鮮度、味、色艶などがスーパーの物と比べれば、まったく違う。また、泥や汚れを徹底的に落し、ほとんど洗わずに食べられる、あるいは調理できる状態になっているのも特筆すべき事項だろう。これは、肉にもいえる。

本物や本格という言葉は、とかく「高価」なものと決まっている。しかし、食材に限って言えば、高ければ高いほど美味い料理ができる。


4.スナックさやえんどう

普通のさやえんどうと比べると、さやの部分もまめの部分も厚く大きく、似て非なるものという感じが強い。匂いにさやえんどうの面影を僅かに残しているが、これも普通の物と比べると、非常に弱い。味は、たいそう甘い。赤ピーマンなどに通じる甘さで、野菜本来の持っている甘味よりはかなり強い感じだ。

食べ方は、サッと茹でて、マヨネーズやドレッシングなどと和えて食べるという、シンプル極まりない方法が最も美味いだろう。昨日は、マヨネーズとオイル・アンド・レモン(バジルの香りが入ったオリーブ・オイル、塩、胡椒、レモンの絞り汁)の2パターンを作ってみたが、オイル・アンド・レモンが抜群に美味い。あっさりした味付けで、スナックさやえんどうの甘味を楽しむのが良いようだ。


5.モズク

モズクといっても、一般的にスーパーマケットなどで販売されている三杯酢などに浸された「味つき」ではない。沖縄産の「味無し」でなければダメなのだ。これは、洗ってゴミなどを除いただけのもので、非常に応用範囲の広い食べ方が出来る、非常に優れものだ。しかも沖縄産の「天然物」は、非常に太く、歯ざわりもしっかりしている。白滝ほどの太さがあり、サクサクとした歯ごたえは、一度食べると病み付きになる。

味噌汁に入れて良し(冷たくした赤出汁は最高だ)、山葵醤油で食べて良し、生姜醤油また良い。もちろん、一般的なお酢ベースでも抜群に美味いことは言うまでもない。甘い味付けが嫌いだったら、蕎麦つゆなどを三杯酢の替わりに使うのも良いだろう。

数週間前に、高島屋で沖縄フェアのようなことをやっていたのだが、そこで入手したモズクが今のところ最高だ。先日伊勢丹で入手した物は、太さがやや不揃いなのがマイナスだ。高島屋のモズクは、800g購入したのだが、余りの美味さに1週間で食べきってしまった。このモズクは、販売元、生産元とも抑えてあるから、今度は通販で大量購入を試みるつもりだ。惜しむらくはお値段。一般に売られているものと比べると、倍以上のお値段なのだ。天然物という点、品質を考えれば仕方のないことであるが……。

沖縄フリークの我々夫婦らしい話だが、それを差し引いても本当に美味い。


6.岩海苔

摘んだ岩海苔を乾燥させただけ、というシロモノなのだが、これがたいそう美味い。メチャクチャに豊かな海の香りと確かすぎるほどの歯ごたえが抜群だ。様々な食べ方が想像&創造できるのだが、最もシンプルで美味いのは「岩海苔茶漬け」だろう。ご飯の上に大量に岩海苔を乗せ、醤油を適量かける。あとは上から熱いお湯を注げば出来上がりだ。前述の香りと歯ごたえに加えて、素晴らしい出汁が出るから、その味はたいそう美味だ。

水で戻すという使い方が一般的で、サラダや刺身などの付け合せに最適だ。戻さずに弁銅のご飯の間に挟んでも良い。味噌汁に入れれば素晴らしい出汁が旨味をさらに引き出してくれる。

海へ行った帰りに、たまたま入った近くのスーパー・マーケットに置いてあったこの岩海苔。房総あたりでは「鯨のたれ」も有名だが、岩海苔の方が断然使い道が広い。海辺のスーパーは、その土地の産物が溢れており、買い物が楽しい。野菜なども地元で取れるものがメインになっており、都心で買うよりもかなりお得なお値段で手に入れることができる。もちろん魚は近海物がメインだから、たいそう美味そうだ。しかし、買出し目的ではないので、クーラーボックスなど持っていないためにかって代えれない悲し性ある。


7.徳島県人は「すだち」が好きだ

ありとあらゆる料理にすだちの実が付属している。味噌汁、刺身、フライ、そしてもちろん酒……。フライなどは、レモンの替わりに使うという解釈が成り立つが、味噌汁や刺身はちょっと……と思う。ところが、絞ってみるとこれが意外にイケるのだ。新しい発見と言っても過言ではない。かなり美味い。上品な酸味と香りが、かなりイケる味を出すのだ。

5〜6月が本来のすだちの季節だというから、この時期に行ったら是非購入すべきだろう。焼酎や泡盛に絞ると、たいそう美味い。


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