中華料理編
1.中華料理の基礎
その1:シナ鍋は熱く
やはり美味しい中華を作るには、シナ鍋が必要となる。しかも、うんと熱くして料理する必要がある。コンロで温めまくって、煙が立つくらいに熱した状態から料理はスタートするのだ。
その2:味の基本
中華の炒め物系では、外してはならない隠し味がある。生姜、ニンニク、ネギ(白い部分)だ。これを微塵切りにしたものを、先ずは熱いシナ鍋で炒める。こうすることによって、油と鍋に何とも言えない風味が広がり、中華独特の味や香りを形成する大元となるのだ。
その3:最後の締めは胡麻油
ガシガシ炒めて、お皿に上げる直前に胡麻油をちょいと垂らす。2〜3度煽ってできあがり。この最後の胡麻油が、コクと風味にさらなる重厚さを加える。
その4:料理人の腕力
シナ鍋は重い。良いシナ鍋になればなるほど重い。これに食材の重さが加わり、鍋を煽るという行為には結構な腕力が必要だ。野菜から出る水分を適度に飛ばす必要があるから、この煽りは非常に重要な技だ。べちゃっとしたできあがりにならないためにも、腕力強化は必須である。
その5:野菜はやや固め
腕力でも触れたが、べちゃっとしたできあがりの原因として、炒めすぎがある。野菜のしゃきしゃき感を残すためにも、ちょっと固いかな? というぐらいでお皿に上げるのがいいと思う。後は余熱で柔らかくなる。
2.失敗版炒飯
私が作る炒飯は、自画自賛になるが、そこらの中華屋で食べる物よりも遥かに美味い。それが失敗してしまったのだ。というのも、昨日はいつもの炒飯とは趣の異なったレシピに挑戦したのだ。海老、挽肉、ネギ、ピーマン、卵を炒めて具とし、ナンプラーで味付けするという「タイ風」に挑戦したのだ。
味は抜群であった。最後に散らしたシャンツァイの香りも高く、見事な味だった。では、何が失敗したというのか? 食感である。パラパラに仕上がらなかった炒飯ほど嫌な物はない。海老を炒めた際にかなりの水分が出たのだが、卵を入れた時点でそれが吸収された。しかし、ご飯を入れたところでそれが戻ってしまったのだ。
卵はスポンジの役目をする。この基本を忘れたために、一瞬水分がなくなったことに安心してしまったのだ。水分が多いということは、シナ鍋の温度が上がらないことを意味する。これでは十分に水分が飛ばないのだ。その証拠にシナ鍋の底にはベッタリと「お焦げ」が張りついていた。
できあがりは「タイ風炒飯」のつもりが「タイ風おじや?」となってしまった。
3.フォアジョの威力
我が家の「麻婆豆腐」は、チン・ケンミンさん直伝のレシピに基づく、非常に美味い物である。この麻婆豆腐、辛さの秘密はトウバンジャンではないのだ。確かに唐辛子を主体とするトウバンジャンは辛い。しかし、麻婆豆腐の濃厚な味と辛さに「爽やかさ」とか、良い「香り」をつけているのは「山椒の実」なのだ。
「フォアジョ」と呼ばれる、この山椒の実。ピリピリくる非常に鋭い辛味を持っている。また、山椒独特の爽やかな香りも併せ持っている。魚介類やスープとの相性も非常に良く、辛味と香り付けにはもってこいの香辛料だ。我が家ではこれを切らせているときは、粉の山椒を使う。
ホットでいながらクール。外せない香辛料の一つだ。
4.マヨネーズ炒め
魚(白身)や海老、イカなどの魚介類との相性が非常に良い。大抵は剥き身の海老で作るときが多い。今回はフリッターにした海老とイカで試してみた。結果を先に書くと、非常に美味かったが、フリッターの衣は余計だった、というところか? 味や旨味を良く吸うという意味では衣は大正解だったのだが、今回はマヨネーズということもあり、かなり油っこくなってしまったのだ。ただ、衣をつけないとマヨネーズが具に馴染まないというデメリットもあり、まさに「痛し痒し」「帯に短し襷に長し」という感じだ。
フリッターは、小麦粉と片栗粉にベイキング・パウダーを加えて作る衣で、フワッと&カリッと仕上るという特徴を持っている。天麩羅を美味しくあげる隠し技としても応用できる。昨日もマヨネーズ炒めを作る前にちょっとフリッターを試食してみたが、軽く香ばしい見事な天麩羅? に仕上っていた。
さてマヨネーズ炒めだが、先ずはネギと生姜の微塵切りを作っておき、煙が立つほど熱したシナ鍋に軽く油を引いてサッと炒める。十分に香りと旨味が出たところへフリッターを投入する。ネギと生姜を軽く絡めて、マヨネーズ(キューピー辛子入り)を好みの量投入する。素早く煽ってできあがりだ。
イカも美味いが、特に海老が美味い。白身の魚でも抜群の美味さになるだろう。
5.自作の餃子の皮
先ずは道具を揃えるところからスタートだ。東急ハンズなどには、手打ち蕎麦セットなどというものが売られているのだが、餃子の皮だからそこまでの大げさな道具はいらないだろう。下に敷く板はまな板で十分、のし棒は檜製があったが、木材売り場から適当な棒をチョイスした。というわけで、道具に要した金額は、僅か250円であった。
さて、材料その他を列挙してみよう。
・材料
薄力粉と強力粉を同量、熱湯を適量、打ち粉に強力粉を適量。
・その他
直径8〜10cm程度のコップ(型抜き用)
・作り方
ボウルに粉を入れ、熱湯を加えたら表面が滑らかになるまで練る。団子にして、ラップに包んで10分程度寝かせる。まな板に打ち粉をタップリ振り、のし棒にも打ち粉をタップリ付ける。団子を1/4にして(残りはラップに包んでおく)のし棒で伸ばしていく。厚さが2mmくらいになったら、コップで型抜きし、さらにのし棒で形に注意しながら厚さを整える。
あまった物を再び団子にし、のし棒で伸ばす。あとは繰り返し。2度目のあまりは、次の団子に加えて作業を繰り返す。
・注意点
打ち粉はタップリだが、振りすぎると皮の乾燥を早める。
できあがった皮は、重ねておく(既製品のように)と乾燥しない。
多少小さめに作っておく。既製品よりも伸びるから、具を入れるときに引っ張るようにして包む。
といったところだろうか? なれない作業であったため、多少の戸惑いと時間的ロスはあったが、結果を先に言えば、大成功であった。1/2カップずつの粉で、約24枚は皮が作れる。多少の失敗を考慮しても、20枚は固いラインだ。今回は水餃子を作ったのだが、肉汁が飛び散るジューシーな仕上りは、小籠包(? 字が合っているか不安)のようだった。基本的には、焼き餃子の場合は薄目に、水餃子の場合は厚目に皮を作るといいようだ。
6.皮蛋(ピータン)と五香粉(ウーフェンシャン)
その正体は、アヒルの卵を特別な調味液に漬けた後、泥と籾殻に漬けて醗酵させたもので、黒いゼラチン状の卵白、黒い卵黄と不気味な腐敗臭(硫化水素臭)が特徴だ。アヒルの卵ということもあって、鶏の卵と比べると若干大きめだ。また、殻も硬い。この不気味な腐敗臭のために、ピータンが嫌いだ! という人も少なくないだろう。
確かに、これをこのまま食べるのは結構きついかもしれない。しかし、臭いのは主に卵黄部分だから、二つに割ってベランダにでも(部屋に置いておくと臭いが充満する)しばらく放置しておけば、腐敗臭が弱まる。卵黄部分のドロドロ感も多少固まる。
このピータンを美味しく頂くために、私は「ゴーヤ・ピータン」というものを開発した。
縦に二つに割って中身を取ったゴーヤを麻雀のサイコロ大に切る。ピータンも同様の大きさに切る。ゴーヤを軽く茹でる。緑が鮮やかになるくらいが目安だ。これで具は出来上がりだ。酒、醤油、トウバンジャン、胡麻油、五香粉(ウーフェンシャン。山椒、八角、桂皮、丁子、小茴香、陳皮を合わせた混合香辛料)でタレを作り、具を混ぜ合わせれば出来上がりだ。
味の方は抜群だ。ご飯に乗せて良し、冷奴に乗せてこれまた良し、酒のつまみに良しと言うことなしだ。五香粉がピータンの臭みを消し、ゴーヤの苦さがさわやかだ。茹でたての暖かいものも美味いが、冷やしたものも酒のつまみに非常にマッチする。泡盛のオンザロックか紹興酒(これもオンザロックが望ましい)で飲りたいところだ。
ゴーヤが手に入らなかったり、苦手な人は、胡瓜を代用品として使ってもいいだろう。また、トマトを刻んだものを加えてもサラダ感覚で美味い。トウバンジャンの替わりに沖縄の練り唐辛子やコーレーグースー(泡盛に唐辛子を漬け込んだもの)を使ってもいい。コレーグースーは、さわやかな辛さなので、夏に使いたい。
五香粉は、インドのガラムマサラのような位置付けだろう。香りが非常に複雑だ。やや苦味のある味も上品で良い。中国では、肉の臭みを取るために使われたり、煮込みのタレ(まさにガラムマサラと同じ使われ方だ)に使われる。手軽に風味を出すことのできる香辛料として、ガラムマサラと共に抑えておきたい。
オードブルとか、付け合せ的感覚の料理だが、割りと濃い目の味付けだから、おかずとしても十分に独立できる。
日本的な物を望むならば「雑魚山椒」がいい。縮緬雑魚と山椒の実を油で炒め、酒と醤油で味付けをしたものだ。水分を十分に飛ばすことがポイントで、ふりかけ感覚でいただける。これに水を切ったしらたきを加えれば立派なおかずになる。この応用編としては「雑魚ピーマン」がある。上記のレシピにピーマンを加えるのだ。そして炒める際の油を胡麻油にして、胡椒をたっぷりと利かせれば、抜群のおかずになる。
シンプルなものは、様々なものとの親和性が高い、というお話であった。
7.ゴーヤ・ピータンのヴァリエ
ピータンはいつでも手に入る食材ではない。ましてや家の冷蔵庫などに常備していることは皆無に近いだろう。というわけで、ピータンの替わりになる物を考えてみたわけだ。そこそこ味わい深く、加えて安価であればなお良い。この条件の下に白羽の矢を立てたのが「鶏の内臓系」だ。今回はハツ、レバー、砂肝を茹でて刻んだ物を試してみた。
茹でる際には、ネギの青いところ、皮付きのまま輪切りにした生姜を加えることがポイントだ。手間は掛かるが、これを加えることによって内臓系特有の「臭み」を消すことができる。これは鯖や鰯などの「青物」を煮るときに味噌や生姜を加えるのと同じ発想だ。
茹であがったところで、内臓たちを好みの大きさに刻む。茹でてスライスしたゴーヤや生の胡瓜の刻んだ物と併せて、生姜&ネギの微塵切り、醤油、ラー油、五香粉などで作ったタレをかけて混ぜれば出来上がりだ。山椒の粉を振り掛けても、爽やかな辛味が増す。温かいままでももちろん美味いが、冷やしてオードブル的な食べ方をしてもなお美味い。ご飯にも合うが、酒の肴に抜群だ。
8.うずら版ピータン
以前にも書いたが、ピータンの本来の素材は「アヒル」の卵だ。今回発見したのは「ウズラ」の卵で作ったピータンなのだ。見てくれは、通常売られているように、卵を収める型のようなプラスティック製容器に入っているのだが、一つ一つがビニールの袋に包まれている。このビニールを剥がしても、殻にはわらなどは付いてなく、ごく普通のウズラの卵だ。空を割った途端に様相は一変する。
まさにピータンだ。黒い色をした白身の部分、同色の黄身の部分。本物との違いは、白身の部分がもっと柔らかく、黄身の部分がもっとクリーミーなこと、匂いや味が薄いことだろうか。それでも食べれば、きちんとピータンの味がする。まさしく小柄なピータンだ。コイツの出所は、昨日登場した奥さんのご母堂の友人だ。
これは、このまま食べても美味いのは言うまでもないが、冷奴にトッピングすることによって双方のよさを引き出すことができる。摩り下ろした生姜、ネギの微塵切りを乗せた豆腐に熱した胡麻油を「ジュッ」とかける方法は以前書いたが、熱していない物でもOKだ。最後にウズラ・ピータンを乗せて出来上がりだ。ピータンの風味はそのままに、マイルドな香りと味が「五香粉」を使う必要を感じさせない。
このピータン冷奴を熱いご飯の上に乗せて崩して食べるのがベストな食べ方だろう。
9.焼きそばの真髄
焼きそばといっても、お祭りの屋台などで売っている「ソース焼きそば」ではない。麺自体には味付けはせずに炒め、上にかける「あんかけ」にヴァリエーションを持たせるのである。いわゆる「あんかけ焼きそば」を作っているのである。この方法でいけば、1週間に2〜3回食べても飽きが来ない。簡単で美味い(永遠のテーマだ)食べ物の代表格といえるだろう。
先ずは麺の調理方法から。方法といっても、これは簡単だ。フライパンに焼きそばの麺を広げて、弱火にかけるだけだ。この際、胡麻油を少し引くとより美味さが増す。この麺。スーパーマーケットで売られている、普通の麺だ。表現の方法が的確ではないが、半生状態? のような感じのものである。柔らかいが、調理が必要というものだ。
この麺は、買い置きが効く、というところが嬉しい。買ってきてもすぐに食べないのであれば、冷凍庫へ放り込んでおけばいくらでも保存できる。食べるときは電子レンジで加熱して戻せば良いのだ。
さて、弱火でジックリと焼いていると、麺のフライパンに接した部分が焦げてくる。この「焦げ」がポイントで、単に焼いただけでは美味さが引き立たないのだ。片面をやや焦がせばOKだから、時々焦げ具合を見ながら、満遍なく焦げ目がついたら裏返す。裏返したら、2〜3分で出来上がりだ。焦げた面を上にして皿に広げ、上からあんかけをかければ出来上がりだ。
次にあんかけ。これはもう、限りなくヴァリエーションが考えられるから、いくつかのポイントとレシピを書き記しておこうと思う。ポイントから。具をザッと炒めたら、やや水を加えて少し煮るようにする。汁気の多いここへ「片栗粉」を解いた水を加えてトロみをつける。味付けは塩コショウが原則で、醤油、オイスター・ソースなどで味を調える。投入のポイントだが、魚介類を主体とする場合は「塩コショウのみ」の白いスープ? が良い。これに反して肉類を具に加えるときは「醤油&オイスター・ソース」を味付けの主体とする、黒いスープが良い。
オイスター・ソースは、魚介類から取るソースだが、肉類との相性の方が良いのはどうしたわけか? また、片栗粉でトロみをつける場合、野菜の具の主役はキャベツよりも白菜(特に固い部分)のほうが圧倒的に美味いのも七不思議の一つであろう。
その他、四川料理風にトウバンジャンやショアジョ(山椒)、八角などを使っても身体が芯から暖まる味わいとなって美味い。この際には、具は豚肉、ピーマン、茄子は外すことは出来ない。
そして、忘れてはならないのが生姜と大蒜(これはなくてもOK)とネギの微塵切り群だ。これを最初に煙が出るほど熱したシナ鍋に油を引いて、やや焦げるくらいに炒めてやることで、本格的な中華の味わいを簡単に出すことができるのだ。また、ショウガの量は多ければ多いほど美味いハズである。
最後は食べる際のポイントだ。ここでは「酢」と「カラシ」はかかせない。考え方は「冷やし中華」と同じだ。あんかけ焼きそばの上に酢をかけ、カラシを解きこんでかき混ぜて食べるのだ。絶対的にこのアイテムは欠かすことが出来ない。カラシのツーンと後頭部へ抜ける刺激と共に食べる焼きそばは最高だろう。もちろんこのあんかけ、ご飯にかけても絶品であることは言うまでもない。
ヴァリエーション次第では、1週間連続で食べても飽きない。絶対的なオススメ。
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